ストローと海洋汚染

冷たい飲み物を買うとプラスチック容器に入った飲み物にストローが付いてきますが、世界各国で、プラスチック製のストローを使わない運動が活発化しています。
プラスチックストローが海洋汚染を引き起こしている
世界でプラスチックストローの廃止が進んでいる背景には、海洋汚染への影響があると言われています。プラスチックストローは、その名の通りプラスチックで作られています。
プラスチックの中にはリサイクルされるものもありますが、ストローのような小さなものになると、リサイクルをするのが簡単ではありません。だいたいの場合使い捨てのゴミとなってしまい、ゴミとなったプラスチックストローは大量に海に流出してしまうのです。
その量は年間で約800万トン。大量に流出したプラスチックストローは海の塩分や紫外線などによって細かく分解されていきます。小さなものでは0.5㎜以下の小さな欠片になり、海中を漂い続けるのです。それほど小さな欠片だと回収が難しく、また魚が誤って食べてしまうなどの問題にもつながります。
世界経済フォーラムの2016年の発表によれば、2050年までに、海洋プラスチックごみの総重量は、全ての魚の重量を上回ると推測されています。
このようなことから、世界中でプラスチックストローの廃止が進んでいます。

プラスチックから紙への動きも盛んに
日本でも、こうした動きは始まっています。製紙業を中心に、日本企業も紙製の包装材の開発や、容器の見直しに本腰を入れ始めています。例えば、紙製ストローの実用化は18年中をめどに進められていますし、紙製のスナック菓子包装材や冷凍食品用の包装材も実用化を控えています。紙製の食品梱包材は、特殊なコーティングにより酸素や水蒸気の通過を防ぎ、中身の劣化を抑える機能を備えています。さらに、微生物によって分解されやすいのも特徴です。
企業の取り組み
イケア:店舗とレストランで7種類の使い捨てプラ製品を全廃
スウェーデンの家具大手イケア(IKEA)は、参加の店舗やレストランで提供されるストローや保存袋など使い捨てプラスチック製品7種類を全廃する計画を発表した。またその他プラスチック製品に関しては、2030年までに原料をすべて持続可能なものに切り替えるという。
ボルボ:2019年末までにオフィス、社員食堂、イベントで使い捨てプラ廃止
スウェーデンの自動車大手ボルボ・カーズ(Volvo Cars)は2019年末までに世界中の同社のオフィス、社員食堂、イベントでの使い捨てプラスチックの使用を廃止する。さらに、2025年までに同社のすべての新車種で使用するプラスチック部品の25%以上を再生素材に転換することも発表した。事業活動と製品の両面から脱プラスチックを目指していく姿勢だ。
プラスチック製ストローは多くの飲食店が大量消費しているが、紙製のものに代替したり、使わないようにするだけで、海洋汚染対策の第一歩として、大きな動きだと思います。
できることから少しずつ始めていくことこそが、重要であると思います。